2024/03/08
第2弾になります。
アメブロはこちらなぜ卵母細胞(卵子)はただ1つの精子とのみ受精するのか | 髙木亜由美のブログ (ameblo.jp)
通常の体外受精を行うと多精になることがあります。卵の多精拒否の仕組みが弱まっている可能性が示唆されています。また、加齢と多精頻度の増加との関連性なども報告されており、加齢がその原因の一つとして考えられています。
~なぜ卵母細胞(卵子)はただ1つの精子とのみ受精するのか~
dcb83577e9795fdcc9bc08cd5c98b4f1.pdf (gunma-u.ac.jp)
「卵子が1つの精子とのみ受精する」仕組みの一端をモデル生物で解明-群大ほか – QLifePro 医療ニュース
性を持つ生物(有性生物)の多くは、周囲に多数の精子が存在しても、卵子がただ1つの精子と受精することによって誕生します。卵子が複数の精子と受精すると雄由来の余分なゲノムDNAが受精卵内に持ち込まれ、適切に細胞分裂ができずに異常な発生をします。
哺乳類などの卵子では、受精後数十分で透明帯という卵子を覆う構造の化学組成が変化し、多精子受精を拒否(多精拒否)することが報告されています。一方で、卵子は受精時にはすでに多数の精子にさらされることから、この多精拒否の仕組みには受精直後に起こる早期のものと、遅いものがあることが示唆されています。
線虫 C. elegans より、この早い段階で起こる多精拒否メカニズムの一端が明らかになりました。線虫の卵母細胞内で働く MARC-3(ヒトではMARCH3という因子が類似)というタンパク質が欠損すると、通常は1つの精子とのみ受精する卵母細胞が、複数の精子と受精することが発見されました。この際、卵母細胞は最初の精子と受精してから約10秒以内に次の精子と受精することから、早期の多精拒否の仕組みに異常が生じていることが考えられます。
線虫の場合は透明帯の代わりにキチンという物質が卵殻を形成し、多精拒否する仕組みが知られていますが、MARC-3欠損卵ではキチンからなる卵殻は形成されていました。卵殻が形成できない卵についても解析を行ったところ、これらの卵では受精後3~5分後に2つ目の精子が受精しました。また、MARC-3欠損卵で卵殻ができないようにすると多精となる割合がさらに増加しました。このことから、MARC-3は早期の多精拒否、卵殻は遅い多精拒否に働いていることが示唆されました。
ポイント
性を持つ多くの生物において、卵子は1つの精子としか受精しません。
複数の精子と受精すると正常に発生できないため、多精拒否の仕組みが備わっています。
体内受精する生物での受精直後に素早く多精拒否する仕組みは不明でしたが、線虫を用いた研究によりヒトにも存在するMARC-3 (ヒトホモログ MARCH3) が早期の多精拒否に働くことが明らかとなりました。
ヒトなど哺乳類における多精拒否の仕組みの解明に役立つ可能性があります。